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2009/10/10

量より質?質より量&価格?

Cantucci_sfizio2

今年は本格的に自分たちのビスコッティのEU市場での立ち上げを行いましたが、おかげさまでヨーロッパ向けの輸出はまずまずのスタートを切ることが出来ました。

ただ、イタリアの市場となるとちょっと別。

特に南にいけばいくほどうちの商品の取り扱いは難しいようで、コンスタントに入ってくるオーダーの南限はトスカーナ。

どうも量と質に関する意識の違いのようです。。北イタリアからは比較的にオーダーが入ってきているのですけど、食の意識の違いは否めないようです。

輸出するのに出来るだけボリュームを抑える形で作った透明キューブのパッケージですが、南イタリアの人間にしたらみすぼらしくてプレゼントにできるような代物ではないらしく、また自分用にも量が少なくて物足りない、ということらしい。

そしてうちのダンナも南の人間なので、実家に帰るたびに友人、家族、親戚などに同じようなことを言われ、感化されて帰ってくるから大変です(アンチグルメ・・苦笑)

でも、正直質よりも量を重視する場所にこんな商品持って行ってもどうせ売れないんだから、売らなきゃいいんだというのが私の考え方だし、どうせ南イタリアの市場は夏季が長くて無添加のビスコッティの販売には向かないし、せいぜいクリスマスシーズンくらいしかこの手の商品に手を出す人はいないから、わざわざ一番忙しい時期にリピーターとして期待も出来ない商売するくらいならやらなくてもいいと思うんですけど、ね。

でもこうやって実際にイタリアの市場の傾向を見ていると、本当に品質に対する評価の低さは顕著で、お菓子類だと高級チョコレートに関しては若干品質の高いものにお金を払う傾向はあっても、それ以外のお菓子になると評価が低いのがこの国の状況で、ビスコッティなんてスーパーにうちの生産コストよりも断然安い商品がごろごろしてるから、余計難しいらしい。

だけど、正直どんな原料を使えばこんなに安くで出来るのか本当に理解できないものが沢山あります。

一般的なカントゥッチ・ディ・プラート(アーモンドのビスコッティ)にしてみても、アーモンドの含有量の違い、松の実の使用の有無などがあるにしても、その原産地によってもコストは大幅に変わってくるし、小麦粉の品質、卵も生卵を使うか、卵のドライ粉末を使うかでもかなり生産コストは変わってくるんでしょうが、尋常でない価格帯を見ると、原産地とかどっから来ているんだろう??と思うのでした。おまけに価格帯の安いものは当然ながら、ほとんどのメーカーの商品はバニリン(人工バニラ香料)で風味が誤魔化されているものばかりで、正直食べれたものではないんですけど、こういう人工的に作られた味わいに慣らされ、それがないと物足りないと思う人たちがいるのも恐ろしい。

私たちは基本的にイタリア産がある原料は全てイタリアのものを調達しているし、風味も素材がかもし出すもので、原料も全てフレッシュなものを使うんですけど、やっぱりイタリア産、特にナッツ類はかなり価格が張ります。でもその分風味も全然違いますけどね。

最終的に消費者が何を基準に商品を選ぶかは各人の自由であって、それに対してとやかくいうつもりもないのですが、世界的な不況下において、品質が時間を追うごとに軽視され、価格重視する消費者の傾向に追随し、メーカーなども価格を抑えるために安価な原料を使用して品質を落としてくる傾向が多くの商品にて行われているようでちょっと怖いののも事実です。

安いものには訳があることをしっかり理解した上で買うのはいいと思うのですが、安ければそれでよいと思う人たちが多いのも実際のところ。

毎日贅沢品を食べろというのではなく、譲れるものと譲れないものを区別するとか、何かの機会にはちょっと自分のためのささやかな贅沢で美味しいものを買うとかいう楽しみ方をするのは大切なことだと思うのです。

そうしていかないと、本当の食の伝統文化を維持できず、工業生産化した大手の個性のない商品のみが生き残り、手作りの手間のかかった商品たちの生き残りが困難になってしまう気がするのでした。確かに若干値段は張ってもそこに対価を払っていかないと、ゆくゆくは経営困難、後継者不足に陥り、消え行く食材が続出してしまう土壌を作ってしまいかねません。

輸入品に関しては当然輸入コストでかなり高価なものになってしまうので一概にはいえないでしょうけど、自国で生産される商品で実際に品質の安定した商品とそうでない商品の違いを比較してみると結構些細な差だったりするのを考えると、もし金銭的に余裕があるのであれば、ちょっとくらい注意を払うのは大事なことだと思うのです。

スーパーなどでも品質の良い商品をプロモーションでかなりリズナブルな値段で販売しているし、そういうのをうまく使えば決して高くもない値段でしっかりした食生活を楽しむことも可能になっています。(店のカテゴリーにもよりますし、その影にはほとんど奴隷状態で量販店に媚びざるを得ないメーカーたちが薄利、ひどい時にはほとんどコスト割れに近い状態で商品を提供しているという別の問題はありますが、長くなるので、おいておき。)

なんだか長くなりましたが、言いたかったのは、一つの食べ物が出来るまでの行程は同じ種類の商品でも本当にさまざまで、各人の意識によって商品の行方は変えられること。

食品の安全性などが騒がれる中、何を持って安全というのかなどもちょっと考えてみて、極論に走りすぎず、バランスの取れた食の選択をして行きたいなと思います。

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コメント

Ayaさん、久しぶり!
私は今日本に戻っているのだけど、“南”の人間の感想として、現状はシチリアと日本では大差ないような・・・。
日本は既に格差社会で、ホント一部の人だけが品質に走って、他の大多数の人は値段に走るのが現状なのでは・・・?
価格に関しては日本のスーパーなどは、ホントにどうやったらこんな値段が???と疑問すらわいてくるし。
パレルモも同様で、やはり生活に余裕のある人たちは美味しいもの、珍しいものでも試してみるし、美味しいと思えば値段を問わない人もいるけど、やっぱり生活レベルの程度の問題で、先立つものがないので買えない現状もあるのでは?
もちろん、南の人たちの保守的な姿勢もあるんだろうけれど・・・。
それにやっぱり情報が限られてるし、それで問題があった場合は人(社会&行政)のせいにすればいいんだから・・・。

根本的に美味しいものを食べなれていない、というのはありますよね。
自然が身近だから安全、という構図は最早成立しないし・・・。

まぁかくいう私も、値段に走らざるを得ない状況ですが・・・。

投稿: kinuko | 2009/10/15 09:20

Kinukoさん
やっぱり日本でしたか。
ブログが途切れてたので、ひょっとして??って思ってたところでした。

格差社会のことは分かるんですけど、私たちが売っているのは所詮高いとは言ってもビスコッティなんて安いものだから、ワインなどと違ってそんなに遠い存在になるような価格帯ではないのですよ。だから普通の人でもちょっとした贅沢で買えるように価格設定もしているつもりなんです、が見た目が彼らにとってはみすぼらしいわらしい。

アントニオの昔の同僚とかもほとんど裕福な家族の人たちで下上司も仕事しなくても不動産収入だけで生きていけるような人ですが、やっぱり微妙に違うんですよね。

確かに南の人間は冒険が嫌いだからうちのビスコッティみたいにちょっとクラッシックなものとはかけ離れているのに手が出にくい背景もあると思うんですけど、みんながみんな口をそろえて、美味しいけどもっと大きいパッケージにすれば??というのを聞くとちょっと文化圏が違うんだろうなって思うのでした。
でもシチリアの人は甘いものに毒されてるから、素材の風味をいかした甘み控えめのお菓子はちょっと物足りないのかも。

まあ、家族も大人数のところが多かったり、親戚付き合いが多かったりで、みんなでいろんなものを食べる機会が多いんでしょうけど、そうなると、やっぱり質より量らしいです・・・かといって、お徳用パックなんか作ると値段も高くなって誰も買わないだろうし、難しいところです。
あとはその昔は老舗だったであろう、工業生産しているような菓子メーカーのものとかが今でも幅利かせてますもんねぇ。

というわけで、うちのビスコッティがシチリア上陸することはないんだろうな。気候も暑い時期が長いし、まあ商品自体も向いてないので、アントニオも最近は諦めてるっぽいですよ。

投稿: Aya | 2009/10/19 12:24

・・・・私が貰ったのは、こんなにパンパンに入ってなかった。う~~~っ。アンジー途中で摘み食いしただろう!(Byモモ)

量の問題だけど・・イタリア人って、お菓子、じゃ一つ。頂いて。では、絶対終らないでしょう?チョコレートなんか見てても思うけど、次から次。よくお茶も飲まないで入るな・・という感じ。でね・・これで家族が多かったら、やはり背に腹は変えられず、量を取る事になると思うわ。

もう一つ、子供の時に何を食べていたか?によって絶対音感じゃないけれど、舌の感覚って出来上がっているから、特にこれからの時代、Ayaさんの分野は、やはりターゲットが絞られてくると思うわね。
でも・・今は誰でもが買える世界的に有名なチョコレートの老舗だって、元々は、細々と有閑階級御用達で何百年の歴史を生き抜いてきたわけでしょう?
あれは、一般庶民用のものではなかった。
アンジー家の商品も普段使いのものじゃなく、贈答用という事で・・・。

投稿: ihoko | 2009/10/20 06:53

ihokoさん&ももっきぃ

・・・・私が貰ったのは、こんなにパンパンに入ってなかった。う~~~っ。アンジー途中で摘み食いしただろう!(Byモモ)

イヌのくせにビスコッティなんか食べちゃ、ダメだよ。
ますますデブになるよ。(byアンジー)

こちら、ディスプレイに使うガラス瓶ですが、お客さんによくこれが欲しいと言われます(苦笑)

うちの商品、基本的にギフト用とか、グルメ層の人がちょっと自分用に美味しいものをご褒美にって感じで考えているんですけど、やはり北は核家族化が進んでいるのに対し、南は大家族が多いからっていうのもあるんですよね。

でもローマとかでも難しいのを見ると、やっぱり見た目のボリュームに捉われる傾向は南下すればするほどあるようですわ。

ターゲットは元々かなり絞っているし、本当にハイクラス以上しか狙えないですけど、ビスコッティに関してはまだまだグルメ商品としては位置づけは出来てないんですよね・・・

投稿: Aya | 2009/10/26 08:13

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