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2009/09/02

カルミニャーノの干しいちじく

Fichi_secchi

早いもので9月に突入、イタリアも猛暑から普通の残暑に変わりつつあり、朝晩はちょっとずつ秋の気配が感じられるようになってきました。

さて、夏の果物の1つ、白いちじくの収穫が8月下旬から始まりました。

隣接するカルミニャーノは赤ワインで有名な場所ですが、ここにはもうひとつ品質の高さで珍重される乾燥白いちじく、カルミニャーノの干しいちじくがあります。

Fichi スローフードの保護の対象になっているカルミニャーノの干しいちじくの生産者は10軒余りの零細農家で、通常自分のオリーブ畑の合間に植えてあるイチジクの木から収穫されるもので、敷地内にあるいちじくの木を毎日回り、熟し具合を一つ一つ丁寧に確認しながらちょっとずつ手で収穫していきます。

いちじくはご存知の通り、熟したものは傷みやすいので、作業が行われるのは実の引き締まっている早朝が一番。

私たちが御世話になっているピエロ・キーティおじいちゃんは毎朝5時半から畑に出かけ、一人でいちじく狩に出かけます。

ご高齢にもかかわらず、彼のこの干しいちじくへのこだわりと情熱は凄くて、少しでも多くの人たちに知ってもらおうと、Fichi secchi di CarmignanRaccolta_fichioの保護組合を設立、自ら会長さんとして、消え行くこのいちじくをなんとか存続させようと頑張っています。

彼の手には、彼が過ごしてきた歴史が刻まれたような皺があって、いくつになっても手間を惜しまずに自然相手に仕事をしてきた苦労が見て取れます。

彼の左手の指先はまだお若かった頃に機械で誤って切断されており、使えるのは親指と他の指の付け根の部分のみ。

そういう不自由を感じさせることもなく、木を近くに引き寄せる手作りの棒を左手に持ち、一枝一枝近くに引き寄せながら1粒1粒指先でしっかり実を優しく支えながら収穫していきます。

Essicazione_fichi 収穫してきたいちじくは選別し、粒のしっかりとしたもののみ1粒ずつ丁寧にナイフで縦割りにして乾燥する準備に入ります。

粒の小さなものや付け根の部分がもぎ折れてしまったものは縦割りにはせず、そのまま乾燥させます。

乾燥作業は昔ながらの伝統手法で天日干し。

今やほとんどの干しいちじくが機械で数時間かけて乾燥させてあっという間に仕上がってしまう中、何日もかけて乾燥させます。

最初は果肉を上面にして乾燥させ、その後、1つ1つ裏返しての乾燥。

凄い手間がかかる分、決してお安くはありませんが、手間隙かけて作られるこの乾燥いちじくのお味は本当に風味豊かで、上品な味わいです。いくら機械の乾燥技術が発達しているとはいえ、乾燥ポルチーニなどでも一緒ですけど、やはり天日干しのものに勝るものはないようです。自然の力って凄いですね。

昔イタリアでは冬場果物がなくなる時期のために夏~秋にかけて収穫される果物を乾燥したりコンポートやジャムにして年中果物を食べられるように工夫していた訳ですが、特に乾燥いちじくや乾燥ナッツ類はクリスマスなどの冬の大事な食卓を飾る贅沢品として珍重されていました。実際、今でも名残で、クリスマスの時期になるとスーパーなどの店頭に乾燥果実やナッツがずらりと並びます。

冷蔵庫での保存がどこの家庭でも出来たり、スーパーに行けば季節を問わずほとんどの食品が手に入るようになってしまった現在、食べ物の大事さはおろそかにされてしまいますが、昔は自国だけでまかなえる食べ物でいかに年間通して食料を確保するかが大事だったんだなって気づかされます。

こうやっておじいちゃんが一生懸命干しイチジクを仕込んでいる様子を目にしていると、昔の人たちがどれだけ食べ物を大切にしてきたのかちょっと垣間見れるような気がします。

ちなみにこの干しいちじく、乾燥が終わったものは開かれたものを2対を組み合わせる作業が待っています。

そうして昔のように大半の干しいちじくは年末の時期に消費され、お役目を終えます。

私たちもこの貴重な干しいちじくをちょっとだけ譲っていただき、期間限定でビスコッティにしますが、心のこもった素材を使ったものは、私にとってはまた一味違った特別なものです。

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コメント

すごいね、この工程を全て手作業で行っているなんて!!一粒食べるのはあっという間だけど、こんなに手間がかかっていると知ったら、本当に噛み締めないと!あ、でも私が食べた乾燥イチジクってきっと大量生産なんだろうな。それでもおいしく感じるんだから、ピエロさんのイチジクは気絶するくらいおいしいんだろうな…
Ayaちゃんの手にかかると、どんなビスケットになるのかしら?こっちに来る予定はない?購入希望でーす!

投稿: Riccia | 2009/09/02 17:12

Ricciaちゃん

たかが干しいちじくって感じだけど、裏にはこんだけの苦労があるんだってちょっと身近に感じてもらえたようで嬉しいわ。

普通スーパーで市販されているものは全てといっていいほど機械で乾燥させて作られたもので、皮の部分が結構硬くなっちゃっているし、どうしても加熱して水分を飛ばすので中の風味も変わっちゃうのよ。

いちじくのビスコッティ、胡桃をちょっとだけ加えて仕上げてあるんだけど、私も大のお気に入り。

クリスマスまではぎっしり仕事が埋まりそうで北上できそうにないんだけど、良かったら送れるよん:)
お二人の結婚記念日のお祝いにブロンテ産のピスタチオとペアでどーだ?

投稿: Aya | 2009/09/02 17:26

>いちじくのビスコッティ、胡桃をちょっとだけ加えて仕上げてあるんだけど

はい美味しく頂きましたです。が・・私用には、ビスコッティの中身、いちじくと胡桃が全体の3分の2を占める特別製を作っていただけると、なお、嬉しいでございます。
あっ・・家の近所の地主さん家のいちじくがそろそろ食べごろ、盗み頃になって参りました。(去年貰っていただいた、外が白で中が赤の奴です)明日、あさっては、修道院のお手伝い(枢機卿が来る一年に一回の大イベントがあるんだって)でおりませんが、来週都合の良い時に、またおいで頂けると盗みがいがあるというものです。、(何も持ってくるなよ!)

投稿: ihoko | 2009/09/04 18:50

ihokoさん

>私用には、ビスコッティの中身、いちじくと胡桃が全体の3分の2を占める特別製を作っていただけると、なお、嬉しいでございます。

出た出た~。実はいろんな人に同じことを言われるよ(爆)
そのうち私のお手製の別バージョンいちじくでもふるまってくれよう。
今日は先に作ったジャムとロビオラをトーストに塗りつけて食ってみました。美味しかったですよん:)
今日からイノキはシチリア逃亡。
私は明日はお客さんのお客さんのチーズの取引の話を済ませたら、ビスコッティの山と格闘じゃあ。

ということで、しばらくテンパってしまいそうですけど、また連絡しますです。


投稿: Aya | 2009/09/04 19:35

は~い、ここにも予約したいのが1人います。
いちじく、大好物なの。
で、ayaさんおすすめの干しいちじくで作ったビスコッティ、どんな味になるのかな。
おいしいんだろうなあ。。。
ぜひぜひお取り置きしてくださいませ。

こういうマジメな生産者、しっかり継いでくれる人がいるのかなってことが心配…。

投稿: nao | 2009/09/04 21:28

naoっち

いちじく大好物だったのね~。
私は市販されている乾燥いちじくはちょっとクドくって
苦手なんだけど、これは本当にデリケートだけど風味が良いから美味しく食べれるんだよね。

ビスコッティ、個人的には好きな感じに仕上がってるけど、気に入ってもらえるかな?

>こういうマジメな生産者、しっかり継いでくれる人がいるのかなってことが心配…。

ほんとそうなんだよね。彼も自分自身の後継者はいないから長生きしてね、おじいちゃんって感じだよ。
でもおじいちゃんの情熱が伝わって少しでも生産者が増えるといいなって祈るばかりですわ。

投稿: Aya | 2009/09/05 09:13

じゅるっ!
白いちじく、好物です。
こうして手間隙かけたものとそうでないものの違うがよくわかるわあ~。
お値段もぜんぜん違うものね。

どうか廃れることがありませんように。

ふわっとうまみと甘みの濃縮された味を想像します~。

ビスコッティも食べてみたい・・・

投稿: あん | 2009/09/06 03:07

あんちゃん

白いちじくって、本当に甘みもあってジューシーで美味しいよね。
伝統を守り抜くのって本当に骨が折れることも多いけど、守る価値は大きいと思うのよ。

一度は本当に生産者が消えかけたこの干しいちじく、スローフードの活動も功を奏してちょっとずつ知名度が上がりつつあります。

でもその一方でスローフードの活動に目を晦ませ、他の多くの保護対象の食べ物のように偽物が出てきたり、ずるしちゃう人間が出てこないことも祈らなくてはって感じです。

風味はね、ほんと熱で乾燥させたものと違って皮の部分も程よい硬さで、中も生の風味に近いまま濃度が高くなった感じで、本当にいちじくって感じの味よ。

ビスコッティも今週日本に第一陣を送りますですよ。

投稿: Aya | 2009/09/06 08:01

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